オタク研究家・岡田斗司夫のダイエット本、『いつまでもデブと思うなよ』が売れているという。
岡田の顔は知っていたが、最近の顔を見るとたしかに激ヤセ、まるで別人である。
デブがやせると本を出すほどうれしいものらしい。1年で117kgから67kgに、50kgもやせたと自慢する。いつまでもデブと思うなよって、やせたことがそんなにエライのか。ならば最初から67kgの人はもっとエライはずだ。
彼の方法はレコーディング・ダイエットという。食べたもの、食べた時間をひたすら正確に記録するというもの、それだけである。
食べた事実をメモすることで、いかにたくさんの分量、回数を食べていたか自覚することができる。メモするのが面倒なので食べる回数が減るということもあろう。
家計簿をつけただけで無駄遣いが減ったというのと同じ理屈である。
要するに、食べる量が減ったからやせたのである。ボクが以前から主張している「肥満は必要以上に食べた結果である」という当たり前の事実に気づいたにすぎない。
問題は、作家であり大学講師でもある知的レベルの高い岡田にして、その事実に気づくのに何年もかかったということ。
やせることほど簡単なことはない。単純な算数である。だが、人は自分を律することができないので、やせる方法を求めてダイエットが一大産業となる。
しかし「他人」を減量させる方法ならだれでも知っている。方法はただひとつ。
「食事の量を減らす、以上。」
この一行ですむのだから、本など出すことはない。
他人には指示できることが自分では実行できない。だからジョーバや脂肪吸引やコンニャクに走る。ダイエットとは自分を甘やかす方法を模索しているにすぎないのだ。
会社内では利益目標をいくらにしろとか、この経費を削れ、などと偉そうに指図する人が自分の体重すらコントロールできないという事実。人間はとことん自分に甘い動物なのである。
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