先週、ライブドア事件の堀江被告の控訴審が始まり、久々にホリエモンの名前を目にした。
彼のことは好きでも嫌いでもない興味のない人物だが、ホリエモンの功績を挙げるなら、それは「会社はだれのものか」を世間に知らしめたことではないかと思う。
多くの日本人が会社は社員のものだと信じていた、信じたがっていたところに、どっこい会社は社員のものでも社長のものでもない、経営者のものですらない。会社は株主のものだと明言して、全国のサラリーマンをギャフンといわせたのは痛快だった。
社員は雇用契約で雇われたタダの労働者。不況になればクビになるお宅らがなんで会社の所有者なの? もっともそれぐらい勘違いしなければ停年まで勤めようなんて気にはならんだろうが。
そのホリエモンも最後は株主を裏切って逮捕され、全国のサラリーマンが溜飲を下げたわけだ。
そこまではいいのだが、逮捕後のホリエモンの悪あがきはいただけない。
部下が勝手にやったこと、私は何も知らなかったと、まるで“雇われ社長”みたいな主張を繰り返す。ワンマン社長としてあれほど辣腕(らつわん)をふるった男がカリスマ性を全否定するような発言。彼を目標としていた若い起業家たちの夢をぶち壊した。
六本木ヒルズの億万長者、フジテレビを乗っ取ろうとまでした男にしては予想外の器の小ささ。これじゃフジテレビの社員ならずともこんな男の下で働きたいとは思わないだろう。
たとえ実態はホリエモンの言う通り何も知らなかったとしても、権限を与えて仕事を任せた以上、トップがすべての責任を負うのは当然。カリスマ性を維持するためにも、ウソでもいいから「一から十まで私が指示した」というべきだ。全責任を負って出直せば、出所後の人生も違ったものになるはず。損して得とれだ。
本人は「ちゃんと審理されたら無罪になるはずだ」と言っているが、法的には無罪になるかもしれないが、失うもののほうが大きいのではないか。彼にしては能のないやり方だと思う。
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