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電脳コラム 5

キーボードをカスタマイズする(2)

1998年8月


『世捨て人の庵』

 前回に続き、さらなるキー配列のカスタマイズが続く。

 矢印キーの位置がホームポジションから離れているのが以前から気に入らなかった。矢印キーはカーソル移動の他に、範囲選択(Shift+矢印キー)、漢字変換確定前の文節カーソル移動、対象文節の長さの変更(Shift+矢印キー)、エクスプローラでのファイル選択(キーボード派の場合)と、使用頻度は非常に高い。これが右手からかなり離れた位置にあるのは疑問である。たった1文字だけカーソルを移動するにも、いちいち右手をホームポジションから外して矢印キーを操作をし、もう一度ホームポジションに戻すという非能率的な操作が必要になる。

 日本語の文章を入力している時に最も多い操作にカット&ペーストがある。もしカット&ペーストがホームポジションから両手を離さずにできたら文章作成の能率は大いに向上する。そのためにも矢印キーをぜいたくな位置に割り当てるべきである。(コピー(Ctrl+C)、切り取り(Ctrl+X)、貼り付け(Ctrl+V)で使用するCtrlキーについては後述する)。

 ボクの場合、下図のような位置に矢印キーを配置し、両手をホームポジションに置いたままで操作できるようにしている。ただし親指でカーソルを操作するというのは慣れるまでやりにくいし、キーボードによっては指の位置が合わないので、誰にでも勧められるカスタマイズではないが。

カスタマイズ後のキー配列(8KB)
カスタマイズ後のキー配列

 使用頻度の高いキーはホームポジションから打てなければいけない、そのためには徹底的にキー配置をカスタマイズするというのがボクの主義である。なぜこれほどホームポジションにこだわるのか、キーを見ながら打っている人にはわからないだろうが、ブラインドタッチの基本はホームポジションを死守することにあるといっても過言ではない。


 シフト系のキー(Shift、Ctrl、Alt)の位置について。Ctrlキーは、シフト系の中でも非常に使用頻度の高いキーである。これが小指の届かない下隅の打ちにくい場所にあるのは解せない。

 また、Altキーもボクのようなキーボード派はよく使うキーだ。多くのアプリケーションはプルダウンメニューを「Altキー+文字キー」でアクティブにしたり選択したりできるようになっている。使う文字キーはカッコ内に示してある。たとえばメニューに「ファイル(F)」とあれば、Alt+Fでファイルメニューが開く。また、WindowsのショートカットキーにもAltキーを使ったものがいくつかある。

 シフト系のキーの位置を見直した結果、上図のようにShiftキー、Ctrlキー、Altキーを左端に一列に並べることにした。これにより3つのキーが左手小指で同じ程度の容易さで押せるようになった。特にキーボード派にはメリットが大きいだろう。また、「Alt+Shift+文字キー」というように、シフト系のキーを2つ同時に押す場合も、かたまって配置されていれば押しやすい。

 PageUp、PageDown、Home、Endキーは右下の隅にまとめてある。Tabキー、Escキー、英数キーなどは、現在は一応上図のような位置にあるが、これらのキーはカスタマイズするたびにしばしば“放浪する”ので、今後はどこに移動するかわからない。

 109キーボードには多くの人にとって不要なキーがたくさんある。いらないキーはつぶして必要な機能をどんどん割り当てよう。そう思って改めてボクのキーボードを眺めると、半角全角キー、カタカナひらがなキーといったキーが見当たらない。いつのまにか消えてしまった。ボクには必要なかったのである。


 キーレイアウトの変更に使っているソフトは『Keylay for Windows98』というシェアウエア(¥1,500)である。もちろん常駐させて使っているが、こいつはもう手放せない。このソフトは実に簡単に自由自在にキー入れ換えができ、制約がない。ファンクションキー(F1、F2…)だって好きな順番に並べられるし、同じキーを2つ設けることもできる。たとえばボクは2つ目のEnterキーを左側に設けた。こうすると右手にマウスを持っている時にもメニューの「OK」ボタンなどを押すことができる。

 上図の右の方に「窓選」「終了」「最小化」といった見慣れないキーがある。これらは『Keylay for Windows98』で独自に割り当てたキーである。このソフトでは10個ほどの特殊な機能を単独のキーに割り当てることができる。例を挙げよう。

・ 窓選キー
アクティブなウィンドウを切り換える。「Alt+Tab」とほぼ同じ。
・ 終了キー
アプリケーションの終了。「Alt+F4」と同じ。
・ 最小化キー
すべてのウィンドウを最小化する、または元に戻す。「Windows+M」「Windows+Shift+M」と同じ。

このような操作を単独キーに割り当てると、複合キーより押しやすくて便利だ。特にキーボード派にはありがたい。

 以上のカスタマイズは、ボク自身の使い方に合わせて考えたものであり、親指シフト入力でない場合にはうまくいかないものもある。読者がカスタマイズする場合は、自分の流儀や用途に合わせて工夫する必要がある。ボクとしては、何はさておき親指シフトを導入することを強くオススメするが。

 「常識」というものは合理的でないことが多い。多くの人は常識を疑わず、買った当時のキー配列のまま、メーカーの言いなりのやり方で使い続けるに違いない。そういう人にはこう言いたい。「あなた、損してますよ」。


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