リニアモーターカーの実験線を見学したのが日本一周したときだから、20年も前のこと。当時も「一体いつになったら完成するんだろ」と思って見ていたものだ。
先日、JR東海はリニア中央新幹線の今後の建設費5兆円を自社負担で事業を進めると発表。株主をあきれさせてJR東海の株価が急落した。
リニア鉄道の研究が始まったのが1962年、庵主が4歳のときだ。リニア中央新幹線計画がスタートしたのが73年、15歳のとき。で、ボクは明日で50歳だぜ。どんだけ時間かかるの?
さらに線路を建設し、車両を作り、名古屋まで開通するのにあと20年近くかかるという。トータル70年? 生きてるうちにできるべか。
万事スピード化のコンピュータ時代に70年もかかる研究って何なのか。ライト兄弟が初めて空に浮いてから旅客機が運行するまでわずか27年である。アメリカは構想6年、計画2年で人類を月まで送った。70年もかけるなら金星ぐらいまで行かなきゃだめだろ。たかだか大阪まで行くのにそんな遠大な計画が必要なのか。
大阪まで開通したとして、開発コストに見合う利益が得られるかどうか。「のぞみ」で2時間半のところを1時間、わずか1時間半の短縮。ヘタに運賃を上げれば飛行機や新幹線に客が流れてしまうだろう。
高度経済成長時代に描いた計画がいつまでも通用するはずがない。いまや経済成長率がせいぜい2%の低成長時代。これから少子高齢化でビジネスマンが減っていくというのに一体だれが乗るのか。しかもリニアのCO2排出量は鉄道より何倍も多いらしい。
計画が何十年も進まないのはその事業がなくてもすむからだ。しかし、いままでかけたコストや時間を考えれば今さら中止はできないのだろう。無用の長物とわかっていても作るしかない。
ダムや河口堰の建設と同じで、当初の計画が目的を変えて何十年も生き続ける。事業を食い物にして儲かる人もたくさんいるからね。
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