電気のない田舎でテレビのない生活をする仙人。家にテレビを置かない知識人。
世の中には“テレビ不要論”を唱える人がいるが、テレビから得られる“経験”はバカにならないと思う。非日常を見聞することで世界が広がるのがテレビの大きなメリット。少なくとも子供にはテレビを見せたほうがいい。
ところが最近、ボクのテレビ視聴時間が徐々に減ってきた。株以外の番組をひとつも見ないという日もある。テレビ人間を自任するボクが少しずつテレビ不要論に傾きつつあるのだ。ナンデ?
テレビ離れというとすぐ「最近の番組のレベルが低下したからだ」と思うかもしれないが、ボクにはそういう「昔は良かった」的発想はない。テレビのレベルはもともと低いし、娯楽はくだらないところに意義があると思っている。
視聴時間が減ったのは番組がつまらなくなったからというより、ボク自身が変わったからだろう。年を取って興味の対象が変化したこともあるだろう。
長く生きているとそれなりに知識が増えてくる。クイズ番組を見てもほとんど正解を知っている。同じ話題の繰り返しでえっと驚くことが少なくなった。テレビから得るものはもう何もなくなった、…というと言いすぎだが、テレビで世界が広がらなくなってきたのである。
テレビにはストレス解消や癒し効果があるのだが、仕事を辞めてからストレスがすっかりなくなったことも見る時間が減った理由のひとつだろう。
テレビ離れのもうひとつの理由(ひょっとすると最大の原因?)は、インターネットがテレビに取って代わり始めたことだ。
食事をしながら以前はテレビを見ていたが、最近はネットを見るほうが多い。テレビ(正確にいうと番組ビデオ)だと味噌汁をすすっている間に見逃した部分を巻き戻す、なんてことがあるが、ネットはクリックしないと先に進まないので自分のペースで見られるのがいい。
アナログ放送が終了したらもうテレビは買わない、というほど筋金入りの不要論者ではないが、いまインターネットのほうが世界を広げてくれるのは確かだ。
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