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  ほぼ世捨て人/1998年9月

大阪人の生態

  〜 日本人と大阪人はちがう 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 大阪人がキライである。いや、キライというと語弊があるので苦手だといっておこう。関西に住み大阪弁を話す人たちを総称して大阪人と呼ぶことにする。ボクが初めて大阪人に遭遇したのは東京に出てからのこと。同じ日本人にもこんなに図々しくて自己主張の強い連中がいるのかとカルチャーショックを受けた。

 これまでの経験から判断して、一般に大阪人は図々しくて、冷酷で、自己中心的で、偽善的で、わがままで、攻撃的で、口がうまくて、調子がよくて、ケチで、計算高くて、腹黒くて、見栄っ張りである。彼らの行動原理は損か得かである。こういう人間はキライである。いや、苦手である。素朴とか誠実という形容がこれほど似合わない人たちも珍しい。

 初対面の大阪人はとても親切で人がよさそうだ。が、しばらく付き合うと徐々にわがままな本性を現す。恥ずかしげもなく自分の良い面だけ見せることができる、そういうタイプは東日本には少ないので、実際の5倍ぐらい善人に見える。普通、われわれ日本人は自己表現がヘタで、自分に良いところが10あってもそのうちの2つか3つしか表現できないのが普通だが、大阪人は10のうち25ぐらい表現できるのである。

 ボクは性温厚にして柔和、人と争うことを好まないので、めったなことでは人と口論しないが、今まで怒鳴った2、3の相手はすべて大阪人だった。相性最悪、大阪人はボクの天敵か? 彼らは相手が弱いと見るや高飛車に出るのが特徴。ボクのように一見おとなしそうな人間にはどこまでもつけ上がる。しまいにこちらの堪忍袋の緒が切れて爆発。すると意外にあっさり引き下がる。相手強しと見るや簡単に引っ込むのも大阪人の特徴。彼らには腹芸、以心伝心、沈思黙考といったあいまいな態度は通用しない。ナニワ文化は口数と声の大きさで物ごとの優劣が決まる文化なのだ。

 大阪人はなぜか東京に対してコンプレックスの塊である。彼ら大阪人の最大のカン違いは、
   「大阪は東京のライバルだ」
と思っている点にある。そのため東京にやってきた大阪人は事あるごとに周囲の人間と対決しようとする傾向がある。

 この際だからはっきり言っておく。東京ではだれも大阪や大阪人をライバルだなんて思っちゃいない。東京のライバルといえば、われわれは普通ニューヨークかロサンゼルスを思い浮かべる。東京から見れば、大阪は地方都市の一つに過ぎない。“関東vs.関西の料理対決”などという場合は、両者を代表する街として東京と大阪を念頭に置くことはある。が、それ以外に東京vs.大阪、東京人vs.大阪人という発想はない。

 東京に移住してきた大阪人は2つのタイプに分かれる。一つは大阪弁、関西なまりを得意げにひけらかし、大阪人であることを前面に押し出す「ナニワのあきんど」タイプ。もう一つは標準語で話し、大阪人であることを表に出さない「隠れ大阪人」タイプ。後者は危険性が少ないので特に実害はないが、前者は常に大阪の看板を背負い、大阪を代表してやってきたというプライドが高い。ときに挑戦的、攻撃的にふるまうので注意が必要。そういう姿は実に嘆かわしく見苦しい。気をつけてもらいたい。

 東京人の多くは地方出身者である。東京に来ても方言を使い続けるのは大阪人以外にはいない。大阪人は世界中どこへ行っても大阪弁をやめない。ニューヨークを旅行する大阪人がやはり大阪弁を話していた(当たり前か)。ニューヨークに行ったときぐらいは標準の日本語を使ってもらいたい(?)。

 彼らは大阪が日本の中心だと思っているフシがある。自転車で日本一周したときのこと。北海道から沖縄へ下る途中、大阪でおっちゃんが話しかけてきた。「沖縄まで行くんか。ちょうど半分来たとこやな」と言われて力が抜けた。よく地図を見てくれ。大阪は日本の中心にはない。  つづき

大阪人の日本地図

 お笑い文化の面で大阪人のコンプレックスは頂点に達する。東京のお笑い芸人が大阪の演芸場に出演すると、客はシーンとしてクスリともしないというのは有名な話だ。若手の芸人が向こうに行くと必ずこの洗礼を受ける。

 その点、関東人はおかしなコンプレックスがないから関西、関東の区別なく受け入れる。十年ほど前、吉本新喜劇が東京に紹介されたときも、関東人はやさしいから一生懸命笑ってあげた。が、一体どこがおもしろいのかついにわからなかった。結局、新喜劇ブームは理解不能のため1年足らずで自然消滅した。

 大阪は芸人やお笑い番組を東京に送り込むが、東京のお笑いは一切受け入れようとしない。完全な保護貿易である。

 「関東のお笑いがつまらんからや」というかもしれない。そうでない証拠はたくさんある。ビートたけし絶頂期の『北野ファンクラブ』(フジ)はたけしのフリートークが聞ける唯一の番組で、オールナイトニッポンのテレビ版である。東西を通じてもっともおもしろいバラエティだった。全国各地でネットされたが、大阪だけはかたくなに放送しなかった(絶頂期を過ぎた頃ようやく放送した)。東京では『たかじんnoばあ〜』なんてゲテモノも放送しているのだが。

 あまり大阪の悪口は言いたくないが(もう随分言ってるか)、大阪は犯罪の質がちがう。日本で一番ひき逃げ、ひったくりが多いのが大阪府。凶悪犯罪が多いのも特徴で、三菱銀行の梅川事件(犯人は広島出身だが大阪の生活が長い)、神戸のサカキバラ事件、和歌山のカレー事件…。いずれも異質な残忍さを感じさせる事件で、関西的な匂いがする。

 日本中を震撼させたオウム事件。教団の幹部たちが次々に逮捕された中で、重大事件に関わった最高幹部たちは、刺し殺された科学技術省の某を始め、多くが大阪や関西の出身だった。教団を弁護する正体不明の横山弁護士、それを迎え撃つ横浜法律事務所の伊藤弁護士、いずれもなまり丸出しの大阪人。関東甲信を舞台にしたオウム事件、実は役者の多くは大阪人だった。オウムに破防法をかけろという議論がさかんだった頃、大阪人にこそ破防法をかけるべきだと思ったものだ。

 「言葉少なく控えめ」が(善し悪しは別として)日本人の特徴とされているが、大阪人は明らかにそれとは性格が異なる。独特の活気と押しの強さ。日本の中の外国人だ。東アジアでおとなしい民族は実は日本人ぐらいのもの。周辺の韓国人、中国人、台湾人は概して強気で自己主張が強い。大阪人はこれら周辺国に共通する国民性を持っている。同じ文化圏に属すると考えられる。「香港人は活気があって大阪人に似てる」とアグネス・チャンも言っていた。大阪は日本から独立すべきだ?

 このコラム、大阪人をバカにしとるんかと言われそうだ。確かにほめてはいないが、バカにしているわけではない。大阪人にバカはいない。 みなずる賢い(おのれっ)。ここに書いたことはあくまでも一般論であり、すべての大阪人がこうだというわけではない(その通りや)。1万人に一人ぐらいはいい人もいるかもしれない(ワレーッ)。

 こんな偏見に満ちたコラムをネットで公開するのはどうかと思う(だったら書くな)。この種の偏見から人種差別が生まれるのである。でもウソいつわりなく正直に書いたつもりだ(余計悪い?)。これで関西方面の読者を相当失ったと思う。でも書いてよかった。言いたいことを言ってすっきりするのがサイト運営のメリットなのだから。


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