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  ほぼ世捨て人/1998年11月

効果のないダイエット

  〜 ヤセるのは実に簡単 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 ボクは太っても痩せてもいない。中肉低背といったところ。色気づく高校生ぐらいの頃はもっと背が伸びないものか、脚がもっと長かったら…と人並みに思ったこともある。

 チビ、ブス、ハゲ、短足、出っ歯、デブ。容姿の悩みはいろいろだが、この中でデブだけは他と違う特徴を持つ。顔や身長は主に遺伝で決まるので本人が努力しても変えることができないが、デブだけはいくらでも修正が利くという点だ。

 下は35キロぐらいから上は300キロぐらいまで、誰でも好きな体重が選べる。太っているのは100%本人の責任、選択であり、それ以外の誰の責任でもないと断言する。ボクはデブには厳しいのだ。

 デブの精神構造が気に入らない。人と同じ量しか食べてないのに太るんです、などという。太っているのは遺伝のせいだから自分の責任ではないと考えている。こういう自分を甘やかす態度が肥満につながる。太っているのはすべて自分のせいだ、そう認識するのが痩せるための第一歩だ。

 女というのはずうずうしくて、体重を聞くと大抵サバ読む。57キロあっても49キロと答える。どうみても49キロには見えない。おまえは中が空洞になってるのかと言いたくなる。

 80キロもある女が「努力しても痩せないんです」などと言う。その太った体を維持する方がよほど大変だろと反論したくなる。

 デブが痩せるのは簡単なことだ。毎日たらふく食っている量をまともな量に減らすだけでいいのだから。普通の人が痩せるのはもう少し大変である。

 「デブは意志が弱く、自己管理ができない人間だ」という見方があるが、賛成である。

 太っているか痩せているかは、摂取したカロリーと消費したカロリーの収支決算で決まる。脂肪は多すぎたカロリーを貯蓄に回した結果である。いくら食っても太らないという不経済な人もいるが、少なくともデブはそういう体質ではないのだから、普通に食えばよろしい。中には多少“燃費”が良すぎる人もいるが、ほとんどのデブはただの食い過ぎである。

 デブは遺伝や体質のせいで太っている同情すべき人、と思われているフシがあるが、これはまちがい。満腹中枢が遺伝して、あるいは食生活が同じため親子ともども肥満になる、というケースはよくある。が、その場合でも太っている原因はただ一つしかない。
  「必要以上に食べたから」。

 最近、肥満遺伝子なるものが発見され、これを肥満の原因と見なす人がいるが、ナンセンスの極みだ。肥満遺伝子の所有率は日本人が高く、アメリカ人は低いが、現実は日本人に肥満は少なく、アメリカは4人に1人がデブの肥満大国。これは肥満が遺伝によらない何よりの証拠である。

 アメリカの黒人とアフリカの黒人。同じ人種なのに前者は肥満だらけ、後者は肥満が少ない。肥満は食生活、食習慣で決まる文明病であることは明らかである。

 食生活は習慣そのものである。食べる量をコントロールするとは、睡眠時間や起床時刻を変えたり禁煙したりするのと同じことである。世の中には自分の習慣を変えられない人がたくさんいるらしい。

 食べる量を減らせないのは、食べることより楽しいことを知らないからだ。ダイエットしようなどと思うから食欲に意識が行ってしまう。三度のメシより好きな趣味や生き甲斐を見つければ、肥満なんてたちどころに解消する。趣味に忙しくて食ってる時間などもったいない、ということになる。

 ボクの食生活は比較的質素である。経済上、ムダ飯を食らうような身分ではないからだ。  つづき

 外出しない日は消費エネルギーが少ないので一日2食、ブランチと夕食のみ。これで少しもおなかは空かないし、食費と時間の節約になる。

 ダイエットとは実に脳天気で嫌な言葉だが、実はボクも年に2、3回ダイエットする。ちょっとおなかに脂肪がつき始めたら食べる量を少し減らし、エネルギーの収支を調整する。

 AZMA流ダイエット法。ご飯を2膳食べていたなら1膳半にする。おやつの時間にお菓子を3つ食べていたなら2つに減らす。おかずも各々少しずつ量を減らす。これだけのことだ。

 巷のダイエットは、3食だったものをいきなり1食にするといった過激なことをやるから失敗する。すべての食事や間食を2割ぐらいずつ減らせば今より痩せていくはずだ。

 このようにしてだいたい1週間から長くても10日で所定の効果が得られるのでダイエットは完了する。腹の脂肪がつまめるくらいあったのがつまめなくなるので完了というわけだ。

 1週間続けた食事の量は習慣として定着するから、以後は取りたてて節食など意識しなくてもリバウンドすることはない。これまでダイエットに失敗したことなど一度もない。

 ダイエットに半年も一年もかけ、それでも効果が現れないという人がいるが、信じられない。何ヵ月も悪戦苦闘するようなことではない。なぜこんな簡単なことに大騒ぎしているのだろうか。

 「ワタシはこんなに空腹に耐えているのになぜ痩せないんでしょう」という人がいるが、空腹とダイエットはあまり関係がない。

 空腹とは一時的なカロリー不足のこと。その後でどんと食べれば元の木阿弥。大切なのは一日のカロリー収支の長期に渡る積み重ねである。ある時間だけめまいがするほど腹が減ったからといって、それで痩せるわけではない。

 一つ注意したいのは、ストレスは肥満の引き金になりやすいこと。ストレスがあると、気晴らしのために必要以上に食べるからだ。ボクも仕事でストレスがたまった時期ほど脂肪がついた。一切の仕事をやめてインターネットの仕事を始めたら急激に痩せた。必要な量しか食べないからだ。

 肥満がカロリー収支の結果だとすると、消費カロリーを増やすというアプローチもある。運動して痩せようというのだが、これは大抵うまくいかない。人間は意外に高燃費であり、第一、時間とお金とエネルギーのムダである。

 消費カロリーを増やすために無意味な運動をする人が後を絶たない。ジムで筋トレに汗を流す。室内でハツカネズミのように生産性のない反復運動を繰り返す。

 スポーツジム、ウエイトトレーニング、水泳、エアロビクス、ジョギング。楽しいからやるというならいいが、痩せるためにやるなんて人生の浪費である。高等動物のやることではない。

 せっかく食べたものを無意味な運動で消費する、これは食べ物を粗末にするのと同じ。そんなことをするなら世の中のために働け。エネルギーを使わないのなら食うな。

 食事制限も運動もいやだというぐうたら人間のために、「これを飲めば痩せる」という薬や脂肪吸引などの手術もある。ばかばかしいと思わないのか。

 痩せることもできずに人生で何をなそうというのか。もう一度言うが、誰でも自分の体重を選べるのだ。

 必要以上に食わないこと。これが最も簡単で効果的、かつ経済的、健康的な最高のダイエット法である。


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