前のコラム 庵ホーム ほぼ世捨て人もくじ 次のコラム

  ほぼ世捨て人/2002年5月

解決できない人口問題

  〜 少子化のどこが悪い 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 先日、坂口厚生労働大臣が少子化問題について公言した。曰く、このまま低い出生率が続けば×百年後(正確な数字は忘れたが)に日本人はゼロになり、日本は滅びるぞ。

 まず人口が減って国が滅ぶまでじっと待つということはありえない。人なら“輸入”していくらでも増やせるのだから、減って困るはずがない。滅びる前に移民を受け入れて補充すればいいのである。

 それでなくとも隣の中国は人口増加に悩んでいる。一昨年訪日した中国の首相、テレビで一人っ子政策についてたずねられ、「このままでは世界は中国人だらけになってしまう」とジョークを飛ばしていたっけ。滅びる前に余っている中国人を受け入れればよい。

 少子化が深刻と言いながら移民を一切入れないとはどういう政策か。移民は日本人とはちがうというのか。何を基準に日本人と外国人の境界を引くのか。日本はいまだに移民を公務員として雇うかどうかでもめている国だ。移民は愛国心がないというが、移民の国、アメリカやオーストラリアで愛国心が弱いという話は聞かない。つまらない純血にこだわるなら滅びればいいんじゃないか。

 日本人が減ると日本が滅びるという発想も時代錯誤だ。数百年後の日本人がまだ国という単位で物を考えているとは思えない。世界は一つ、地球単位に物を考えないと地球環境が守れない時代。2000年の時点で賢明な人間の発想は早くも国境を超えているのだ。日本人が減っても世界中が幸せならいいじゃないか

 現在の我々にとって「数百年後の日本人」など「現在のトンガ人」以上に遠い存在である。そんな遠い未来人のために現政権は幼稚園を作り、余計な給付金を増やそうとしている。日本の将来を心配する心があるなら国債を早く減らしたらどうだ。近い将来の日本人を借金地獄に落とすつもりか。

 日本の人口推移を見ると、大正時代(1920年)で5,600万人。わずか80年で(しかも間に戦争をはさんで)2倍以上になったわけだ。政府の推計では100年後に人口が半減するというが、大正時代の水準に戻るだけだ。大したことではない。どこかで減るのが当然であり、もし人口が戦後の伸びをそのまま維持したらどうなるか。数百年もたたぬうちに日本列島はパンクしてしまう。それこそ日本は滅びるぞ。

 人口が増えることが国家繁栄の象徴だ。こういう発想は50年ほど遅れている。国民にとっては人口より住みよい環境、豊かな生活こそが大切。今でもクルマが増え過ぎて慢性の交通渋滞。都市では土地が高騰し、宅地造成のため山を切り崩し、墓を作る土地さえ足りない。小国か大国かは国民の豊かさと関係がない。ニュージーランドなどを見習うべきだ。

 日本人宇宙飛行士が宇宙から地球を見たら日本列島のところだけやけにうす汚れて見えると言っていた。国土の狭さと経済活動の大きさを考えれば充分うなずける話だ。日本人がこのまま日本列島だけに住み続けるつもりなら、日本人はもう充分増え過ぎた。減らす努力こそ必要だったのだ。  つづき

 少子化が進むと労働人口が減り、社会保障の負担が増えるという。しかし、日本には潜在的にかなりの労働人口がある。世界一の長寿国日本、60歳を過ぎてもまだまだ働きたいという人がゴマンといる。が、現実には45を過ぎればほとんど雇ってもらえない。労働者不足どころか就職できずに困っている中高年、熟年が溢れている。労働人口確保のために政府が第一にやるべきは、雇用の年齢差別を全面的に禁止することだ。それに反対しているのは一体誰だ。坂口大臣、アンタじゃないか。

 日本は先進国中もっともオンナが働かない国である。男女平等の時代、専業主婦という能天気な連中をどんどん働かせることで労働人口はまだまだ増える。

 年金制度の破綻、健康保険料の高騰、税収入の減少。その張本人は、働かずに旦那の年金や保険にぶら下がっている専業主婦である。配偶者控除やパート非課税といった優遇措置を撤廃せよ。働かざる者、補償するべからず。

 話を世界の人口に移すと、これは大変なことである。

 子供の頃、世界の人口は33億と習った記憶がある。いまや世界の人口は63億人。ボクが生きている間にほぼ倍になった。2050年(ボクが死ぬ頃)には90億人を越えると予想されている。

 ただし、日本を含めた先進諸国は軒並み人口が減少している。増えているのは発展途上国である。

 アジア、アフリカの貧しい国では食べるものがなくて困っている。多くの人が飢えに苦しみ、バタバタと死んでいく。生まれた子供にミルクがない。お金を出し合って難民を救済しましょう。これが間違いなのだ。

 難民が住むのはもともと食糧に乏しい不毛の土地。放っておけば食糧に見合った人口でバランスがとれていたものを、先進国が人道的立場(安っぽいセンチメンタリズム)から食糧や医療を援助した。その結果、ますます難民が増加し、餓死者を増やした。余計なことをするから飢餓はいつまでたっても解決しない。

 貧しい難民に必要なのは食糧でも毛布でもない。コンドームであろう。難民にコンドームを配給せよ。これは極めて正論だと思うが、誰も口に出せない。国連でさえ言えないだろう。それを言えば民族差別だと感情的な非難を受けるのは目に見えている。難民問題は人口問題である。解決策は人口抑制しかない。が、それを言うと民族問題に阻まれる。これでは永久に解決できない。

 貧しい国は避妊せよとは何事か。難民の人口を抑制するようなやり方は豊かな国のエゴなのか? とんでもない。われわれ先進国では個人が自主的かつ計画的に産児制限をしている。それを当然の責任とも考えている。育てることもできない子供を5人、10人とぽろぽろ生むのは無責任とされている。その無責任なことを途上国の多くがやっている。彼らに無料でコンドームを支給すべきなのである。日本人の増加にブレーキがかかったのは世界一品質のいいコンドームを作ったからだ(?)。

 地球を滅ぼすのは温暖化でも核戦争でもない。人口爆発だ。しかもこれは今のところ解決不可能だ。先進国に二酸化炭素の排出量を割り当てたように、途上国に出生率を割り当てるべきだ。

 人口問題、そろそろ真剣に考えないと、このままでは地球がもたない。


前のコラム 庵ホーム ほぼ世捨て人もくじ ページ先頭 次のコラム
Copyright(C) 2005. AZMA

inserted by FC2 system