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  ほぼ世捨て人/2002年11月

王様のお買い物

  〜 ケチケチ買い物術 〜

ほぼ世捨て人もくじ


● 残るものに金をかける

 ボクの生涯収入はサラリーマンの5分の1程度と予測される。必要な分しか働かない、必要がなくなったら引退するという主義なので、今までもこれからも常に貧乏である。

 人より低コストで生きていくために、金銭感覚は人一倍鋭敏にならざるを得ない。

 まずモノの値段に敏感になる。独り暮らしなので食料品の値段の相場や底値はだいたい知っている。この冬はキャベツが高いとか白菜が安いといったことも敏感にわかる。

 昔、モノやサービスの値段を当てるクイズ番組で巨泉の『世界まるごとHOWマッチ』というのがあったが、ボクの予想はレギュラーの石坂浩二よりよく当たったものだ。

 ボクのお金の使い方には特徴がある。必要だと思うことには思い切った額を投資するが、不要だと思うことには徹底して金をケチるというものだ。

 どういうことにお金をかけるか。一言で言えば、「よく使うもの」、「永く使うもの」、「使っても減らないもの」だ。

 モノは残る。モノを買うとはお金がモノに変わるだけだから、資産は減らない(?)。だからわが家は貧乏な割にモノが多い。貧乏人のモノ沢山。テレビにコタツしかないという生活とはちがうのである。

 逆に、どういうことに金をケチるか。めったに使わないもの、使うと減るもの、残らないものだ。一生に一度のウェディングドレスなんて「めったに使わないもの」の代表だろう。

 残らないものとは、サービス、経験に対する出費をいう。具体的には、旅行費用、入場料、授業料(車の免許、英会話など)、ギャンブル、交際費、冠婚葬祭費、飲食代、家賃などがある。

 要するに典型的な貧乏性の発想である。

● 成功した買い物

 過去の買い物で“当たり”だったものに腕時計がある。カシオのデジタル時計。買ったのは19歳ぐらいのときだから、25年も使っていることになる。7千円前後だったと記憶する。カタログを見て電池寿命が5年と長い(他の機種は2、3年だった)のが選択のポイントだった。

 買ってから15年目に一度電池交換しただけ(費用1,200円)で、他に一切、手間要らず。落とした衝撃で文字盤が少し傾いているが、使用に支障はない。液晶には寿命があるはずだが、表示に問題はない。

 現在、時計バンドの取り付け部分が壊れて手首に巻くことができず、懐中時計と化している。が、まだ現役で使用中だ。

 7千円で25年使えば、充分元は取れた。いいモノとはボクの場合こういうものをいう。買い物としては大成功の部類である。でもこんな時計ばかり作っていたらカシオは倒産するぞ。

 腕時計選び(特にアナログ時計)のポイントは電池寿命だ。本体がいくら安くても電池交換が頻繁では損。これから買うならソーラー電池式(20年ほどの耐久性がある)が狙い目だろう。

BCLラジオ・クーガー

 腕時計と同じぐらい古いのがBCLラジオ。ナショナルのクーガー2200、定価34,800円。買ったのは18歳だから、腕時計より古いかもしれない。

 このラジオ、後年は使用期間より置物としての期間が長い。現在も使ってはいないが、完動品である。  つづき

 アナログチューニングのラジオは眺めているだけで幸せな気分になる。マイルドで暖かい音質もよい。持つ喜びに浸れるラジオだ。中学生の頃からなぜかラジオが好きだった。

 一昨年、経済的に苦しかった頃、オークションに出そうと思った(“程度”がいいので2万円ぐらいにはなる)。が、最近少し余裕が出てきたので気が変わり、売らずに持っている。

 トランジスタラジオはめったに壊れるものじゃないし、使っても減らない。一生付き合えるから買い物としてはお得である。

● トータルコストを考えて

 ボクの買い物の基準を自己検証してみた。モノ選びのポイントは、第一に安いこと…ではない。意外にも価格は第3位だ。重視するのは本体価格よりトータルコストである。

 (1) 耐久性、信頼性(長く使えて故障しないこと)
 (2) ランニングコスト(維持費が安いこと)
 (3) 価格(コストパフォーマンスが高いこと)

 具体例として、まず衣類。ボクの場合、服は舶来品が多い。といっても中国製、韓国製だが。もちろんファッション性ゼロなので安物が中心。ただ洗濯方法の表示は必ずチェックする。洗濯機で洗えないものはクリーニング代がかさむので絶対に買わない。

 靴下は100円ショップで同じ色のものをまとめ買いする。買い足すときも同じ色。色を統一すると片方だけ穴が開いても補充が利くからだ。

 電気カミソリ。長年、舶来メーカーB社のものを使ってきた。ある日、店頭で替刃(網刃、内刃)の値段が国産メーカーの1.5〜2倍と高価であることを発見。それでハタと気が付いた。電気カミソリは本体より替刃の値段で選ぶべきだと。本体は1度買えばすむが、替刃は何度も買うのだから。最近、替刃の交換時期が来たので、本体はまだ使えるが、国産メーカーに乗り換えた。長い目で見れば節約になる。

 カメラ。フィルム代の高い銀塩カメラを売り払い、デジカメへ乗り換えたのは、ランニングコストを重視するAZMA流買い物術の真骨頂。

 バイク。耐久性と燃費を優先してリトルカブを選択。世界一の信頼性を誇るホンダの4サイクルエンジン、リッター70キロを越える低燃費がポイント。

 最低10万キロは乗るつもりだったが、積算1万8千キロでまさかのエンジントラブルに見舞われ、現在修理中。これは計算外だった。しかし、これより信頼性の高いバイクはないのだから、ベストな選択であることはまちがいない。

 代替バイクとして買ったジョルカブも同じエンジンを積み、燃費60キロをはじき出す(スクーターとしては世界一高燃費ではないか)。あくまでも維持費にこだわるのである。

 クルマは持たない主義である。1台百数十万円。20万キロ走れ、テントなしで寝られると考えれば、旅の足としてそれほど高い買い物とは思わない。が、ガソリン代、駐車料金、税金、保険、車検…と維持費をトータルで考えれば、とても買う気にはならない。

 これから買いたいものに双眼鏡がある。すでに1台持っているが、描写にやや不満があるので高性能なものに買い換えたい。

 双眼鏡は消耗部分が非常に少ないので壊れるものではない。「よく使うもの」、「永く使うもの」、「使っても減らないもの」の代表である。今買えば、多分一生使うことになるだろう。

 高解像度で条件に合う双眼鏡なら10万円ぐらい出す覚悟がある。が、昼食代には200円以上出さない。これがボク流の金の使い方。どこまでも貧乏性なのである。


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