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  ほぼ世捨て人/2003年1月

自由人の引退計画

  〜 5年後に仕事を辞めるには 〜

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● 引退のXデー

 誕生日が1月3日なので、年が明けるとすぐ年齢が変わる。年と年齢が対応しているのでわかりやすい。今年は45歳の年だ。

 45歳はボクにとってキリがいい。90歳までは生きるつもりなので、人生の折り返しに達したことになる。いや、体力や感受性からいえば、人生の半分はとっくに過ぎたとも言えるが。

 90歳まで生きるんだというと笑われるかもしれないが、笑いたければ笑ってよろしい。人より不遇な人生なので、石にかじりついてもフツーの人より長生きするつもりでいる。そう考えなきゃやってられない。

 ここ3年ぐらいずっと引退のことを考えている。引退とはもちろん今やっている職業フリーターを辞めること。引退と老後に向けた構想を「自由人計画」と名づけている。具体的な引退時期、Xデーはまだ定まらないが、一応50歳を一つの希望、目安と考えている。あと5年である。

 尚、庵をよく読んでいる読者には言うまでもないと思うが、念のために注意しておくと、ボクにとって引退後の生活とは余生(余った人生)などではない。引退後の人生こそ本番なのだということ。夢にまで見た「人に使われない」人生が実現するのである。

 総務庁の調査によると、停年退職者の8割以上がもっと働きたかったと答え、もう働きたくないという人はわずか1割だそうな。退職金と年金があってもまだ働きたいというのが日本人。こういう一般人とは一緒にしないでほしい。

 人間、いつかは必ず死ぬ。死ぬことを忘れた人はまだいない。たった一度の人生、やりたいことが山ほどある。没頭したい趣味がある。行きたい場所、撮りたい景色、読みたい本、聴きたい音楽がたくさんある。仕事はそれらの最大の障害である(最大の味方でもあるが)。人生、仕事によって失う時間とエネルギー(体力、気力)たるや大変なものである。

 肉体も精神もいつまでも若いわけではない。体力の衰えは食い止められない。感覚はいつまでも鋭敏ではない。

 このごろ働いている時間がもったいなくて仕方がない。頭に白いものが混じるようになってやや焦りを感じる。とにかくボクにはあまり時間がないのである。

● 必要な老後資金は?

 バブル期、有利な金融商品に年利7%なんてものがあった。一千万円貯めれば年間70万円の利息、これで働かずに生活できるのではないかと思ったこともあった。昔から引退を考えていたのである。

 現在はせいぜい金利0.1%。一千万円預けても一年でわずか1万円。利息に頼れる時代ではなくなった。

 老後の生活のメドがつき次第、引退するつもりでいる。しかし、あまり早く引退しすぎると老後の生活費が底をついてしまう。働けるのは今のうちだけというのも事実。

 引退のXデーを50歳とするには資金がいくら必要だろうか。実現の可能性は別として、ちょっと試算してみよう。

 ボクの老後を考える上で留意すべき点が3つある。

 (1) 退職金はない
 (2) 持ち家はない
 (3) 年金はない

 ナイナイづくしでなんだか悲惨に見えるが、世捨て人はこれぐらいじゃへこたれない。健康で借金がないことは大変な財産である。  つづき

 ボクが1年間に使うお金(生活費から趣味まで含む)は、節約モードの場合、70万円ほどであることがわかっている。家賃ひと月35,000円(1年で42万円)も含まれている。実に半分以上が家賃なのである。

 もし家賃をゼロにすることができれば(その方法は後で触れる)、生活費は一挙に減り、年間(70−42=)28万円で暮らせることになる。

 50歳で引退し、90歳まで生きると仮定する。引退後40年間に必要な生活費は、28万円×40年=1,120万円、と計算できる。

 現在の貯蓄額を0円として(実際はゼロではないが)、この資金を50歳までに(残り5年)貯めるとすると、1年で(1,120÷5=)224万円貯金しなければならないことになる。もちろんこれはムリ。

 この他に家賃をゼロにするための資金(土地と家の確保)が必要。予期せぬ出費や医療費のことも考えねばならない。その反面、引退後も副業で小遣い程度の収入があるかもしれないし、幾ばくかの財テク収入もありうる。また年間28万円という出費はボクとしてはぜいたくすぎる(!)。

 そういう制約や諸事情を考慮して、上の文章に出てきたすべての数字を調整していくわけだ。これ以上詳しいことは省略するが、大雑把に言えばこんな計算をしてXデーの時期を決めようとしている。

● 家賃ゼロ計画

 わずか3万5千円の家賃も貧乏なボクには大きな負担だ。比較的給料のいい現在でも家賃を稼ぎ出すのに毎月4日間も働いているのだ。

 老後は生活費を抑えるために田舎暮らしを選択する可能性が高い。生活レベルとしては浮浪者の一歩手前ぐらいの緊縮モード。ますます家賃は重荷になる。月1万円で農家を借りたとしても年間12万円。ほとんど生活費の半分近くを占めることになり、依然として大変な負担である。

 自由人計画の最優先課題は「家賃をゼロにすること」である。それが引退する前に実現できればなおいいわけだ。その方法を以前からいろいろ考えている。

 クルマに寝泊まりすれば家賃は不要になるので、「車上生活」を真剣に検討したことがある。クルマの免許を取ろうかとも思った。が、車上生活の最大のネックは住民票が定まらないこと。居住地に住民票がなければ仕事が得にくい。引退後ならそれでもかまわないが、引退前の車上生活は不利と判断した。

 次なる策として考えたのは田舎に安い土地を買うこと。2、300万円で「山林」のような土地を買い、プレハブ小屋を建てる。調べてみると1部屋のみの独立した建物が100万円以内で建つようだ。プレハブの代わりに廃バスを利用する手もある。

 ここで家賃と仕事にジレンマが生じる。家賃をゼロにするために土地の安い田舎に引っ込めば、仕事が見つからなくなる。仕事のある都市部に住めば家賃はゼロにできない。

 妥協策として、Xデーまでは現在の借家にすむ。引退と同時に借家を引き払って田舎に入る。そのためには引退前に土地と家を確保しておかねばならない。

 以上が現時点での自由人計画の概要である。今後の収入状況に応じて計画はどんどん変わっていく。

 これは90歳で死ぬことを前提にしている。厄介なのは人間いつまで生きるかわからないことだ(だから生きていられるのだが)。

 もし運悪く…いや、運よく90歳を過ぎても生き続けたらどうするか。そのときは堂々と生活保護を受けよう。社会へのささやかな復讐である。


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