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  ほぼ世捨て人/2004年1月

旧成人に贈る言葉

  〜 新成人を批判する大人の実体 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 成人の日。毎年この時期になるとマスコミも大人も「今の若い者は…」とシタリ顔で批判するのにはウンザリする。

 だれかれの区別なくやり玉にあげるボクだが、若者批判だけはしたことがない。最近の若い者だけ特にナッテナイと思ったことはない。むしろ大人や年寄りの方がナッテナイと思うからだ。

 世の中これほどダメな大人であふれかえっているのに、若者ばかり批判するとは、一体どこを見ているのだろう。

● 今の大人はなってない

 成人の日とは何か。祝日法によると「おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」という日。なんだかわからない。

 世捨て人と成人式はある意味で水と油である。もちろんボクはそんなものに出席したことはないし、それを誇りに思っている。成人とは役所からお墨付きをもらうようなものではないと信じている。

 大人とは、成人とは何かをはっきりさせよう。相反する2つの定義が考えられる。

(1) 所属する社会や慣習に適応できるようになった人

 99%の人はこの定義を考えるだろう。低次元の資格である。社会のマインドコントロールにかかったら大人、ということ。しかし、子供だって子供という役割の範囲で社会に適応している。それに、日本でしか通用しないような論理をふりかざして生きている人間を大人とは呼びたくない。大人とはもっと普遍的に通用する存在でなければならない。

(2) 宗教、国籍、慣習、組織の枠を超えて善悪の判断ができるようになった人

これがボクの定義だ。(1)とは逆で、社会のマインドコントロールが外れたら大人だ。

 この基準でいけば、成人式にノコノコ出席する新成人に本当の大人はいないということになる。子供に紋付、晴れ着を着せて得意になっている親もまた半人前であり、同じ穴のムジナである。3年前“荒れる成人式”があり、式典を妨害する新成人が続出したが、これは二十歳になるまでシツケができなかった親の問題でもある。

 社会を見渡しても本当の成人は極めて少ない。ほんの一握りしかいないというのが実感だ。

 大人は新成人に言う。「社会はそんなに甘くないぞ」と。この社会のどこが甘くないというのか。実に大人に甘い社会ではないか。どんな愚か者も立派な社会人として扱われる。どんな極悪非道な犯罪者にも人権が認められている。  つづき

 酔っ払いの不祥事、たばこで健康を害する人、会社を取ったら何も残らない会社人間、安全運転のできないドライバー、みんな立派な社会人として認められている。社会は半人前の成人で成り立っている。これが現実である。

A fool at forty is a fool indeed.
40歳の馬鹿は真の馬鹿。<AZMA訳>

● 上の世代はどうなんだ?

 二言目には「今の若いもんは」と言う大人。上の世代のことは棚に上げて、批判しやすい若者だけを攻撃するのが大人の常だ。なぜ自分より目上の世代を批判できないのか。お前はできるのかって? では批判してお目にかけよう。

 ボクのすぐ上の世代は、全共闘世代、ベビーブーム世代、団塊の世代。日本の社会をここまでつまらなくした張本人たちである。若い頃は学生運動に明け暮れ、オウム真理教なみのテロで社会を混乱させた。よくもまあ今の若い者は、なんて言えたものだ。就職するや組織に組み込まれて体制ベッタリのモーレツ会社人間に転身。豊かさを忘れた高度経済成長へ突っ走り、公害や環境破壊を招き、莫大な借金を後世に残した。人権だ、プライバシーだ、破防法反対、護憲、反米と、頭でっかちなリクツばかり口走るのもこの世代の特徴。こんな管理社会を作るためにゲバ棒を振り回していたのか?

 その上の老人世代はチョ〜極悪非道な連中である。アジア征服を企てて軍国主義へ突き進み、天皇と帝国のために多くの人々を殺し、仲間の命を粗末にした。愚かさの点では今の若者の比ではない。その戦後補償のために戦争を知らないボクらまで多大な費用を負担している。その連中が今、平和が大切だとうそぶいて恩給で悠々自適の年金生活をしている。彼らにそんな資格はない。老人の年金を取り上げて戦後補償に当てるべし。

 年をとればエライというのは儒教の教え最大の誤りだろう。賢い人は十代の頃から賢いものだし、愚かな人はいくつになっても愚かなものだ。

 若者に迎合する気など毛頭ないが、今の若い連中は社会に抵抗してよくやっている方だと思う。もっともあと20年もすればすっかり体制に取り込まれて、「今の若いもんは…」とのたまっていることはまちがいないのだが。

There's no fool like an old fool.
年を食った馬鹿ほど度しがたい。<AZMA訳>


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