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  ほぼ世捨て人/2004年2月

女のホームレスはどこだ

  〜 男の家に寄生する女たち 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 半年前、「AZMAのささやき」のページに「男のホームレス、女のホームレス」と題した文を書いた。社会人類学のテーマにもなりそうな話題なので、新しい知見を加えて改めてコラムで取り上げたい。

● 女のホームレスはどこへ消えた?

 ホームレス、あるいは浮浪者。日本ではほとんどが男性であり、女性のホームレスは極めて少ない。ナンデだろう。こんな疑問を持つ人がいないのも不思議である。統計力学上これほどの偏りがあるからには必ず理由がなければならない。

 ホームレスを「家のない人」と定義するから答えがわからない。ホームレスを「働かない人」と考えたら答えがわかった。女のホームレスは「専業主婦」という名前で生きているのである。

 なんて書くと女性差別と取る人もいようが、ボクは誤解されることをまるで恐れてないのでどんどん書く。

 男は失業したり自分の意志で働かなければ、いずれ住む家を失い、路上生活に転落することになる。ところが女の場合はちがう。働かない人生とは、すなわち結婚して家庭に入ること。夫というパトロンの保護を受けるので、住む家や生活の心配がいらない。女のホームレスは家庭に収まっているので外から見えなかったのだ。

 パトロン(99%が男)が保護するのは常に女のホームレスに限られる。男のホームレスを保護する女のパトロンは皆無に近い。だから男ばかりが路上に溢れることになる。

 女は家事をやるだけで住む家が確保できる。運悪くそれがかなわなかったとしても、最後には妾(めかけ)や売春といった奥の手で収入が得られる。つまり家事をやるか性を売ることで食えるのである。

 男のホームレスは福祉予算をカットされ、社会の恩恵を受けられず、寒空の下で路上生活。それに引きかえ、女のホームレスは、無職なのに主婦という肩書きをもらい、暖衣飽食、税金や年金で手厚く保護され、死ぬまで福祉の恩恵を受けられる。なんたる差だろう。税金の使い方としてこれでいいのだろうか。

 だから働かない女はダメだと言っているのではない。ただ、専業主婦の立場を認めるなら、男のホームレスだけ落伍者扱いするのはおかしいと言っているのである。

 欧米に女性ホームレスがいるのは、より男女平等が進んだ社会だからと言えそうだ。

● 家を持たない女

 働かない男は世間では一文の価値もない生ゴミ扱いである。一方、働かない女にはそれなりの用途がある。こんなことわざを見つけた。  つづき

「女と坊主に余り物がない」

 女と坊主は必ず引き合いがあるもので、食いっぱぐれがないという意味。女は仕事がなくても路上に溢れたり放浪したり世捨て人になったりする必要がない。これらは男だけの悲哀なのである。

 さらにこんなことわざを知った。

「女は三界に家無し」

 三界(さんがい)とは仏教用語で全世界を表す表現。女はこの世のどこにも自分の安住する家を持たないというのである。これはズバリ「女はホームレス」論である。

 男は自分の住む家は自分で働いて建てると考える。女には自分で働いて家を建てるという発想がない。家を建てた女性を知ってますか? 芸能界のような一攫千金の世界にはいないこともないが、○億円の豪邸を建てた山田邦子とか、建てた途端に洪水で流された西川峰子ぐらいしか知らない。

 自分の家を持たない女は誰の家に住むか。その疑問に答えることわざがある。

「女は三従」

 女は子供のうちは父親に従い、結婚すれば夫に従い、老後は息子に従うという。つまり男の家を渡り歩く寄生虫のような存在だと言っているのである。そこまで言ってないか。

 女が離婚するとき子供を引き取りたがるのも老後の住まい確保と考えればよくわかる。また、嫁と姑は仲が悪いのも一つの家に二人で寄生するからだと考えられる。

 ここに、家を建てる女を歌った極めて珍しい、極めて有名な歌がある。小坂明子が作詞・作曲した『あなた』だ。

 もしも私が 家を建てたなら
 小さな家を 建てたでしょう

 よく聴くと、実際に建てたとは言ってないのである。「もし〜なら、〜するだろう」という構文だ。仮定法未来である。

 16歳の小坂明子が家を建てるはずもないし、また建てる気もなかった。失恋相手と住むならこんな家がいいなという夢を、「私ならこんな家を建てたいわ」と表現したのである。現実に建てるのは誰かといえば、やはり「あなた」であろう。

 今回は重要なことわざを3つ紹介したので、おさらいしておくように。試験に出るぞ(注:出ません)。


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