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  ほぼ世捨て人/2004年10月

コンプレックスの法則

  〜 似た者同士は仲が悪い 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 先ごろの韓国、中国の世論調査で、「嫌いな国」のダントツ一位が日本だった。中国で行われたサッカー・アジア杯での中国人サポータの反日行動も記憶に新しい。日本への憎しみが彼らの生きるエネルギーなんじゃないかと思うほどだ。

 なぜ日本が嫌いなのか、過去の植民地支配だけでは説明がつかない気がする。同じアジア人でなぜ“いがみ合う”のか。いや、同じアジア人だからこそ“いがみ合う”のだろう。人種的に近いからこそ絶対に負けたくないというライバル心が燃え上がり、意地の張り合いになる。

 そこで法則が見えてくる。人間というのは中途半端に似た者同士だと仲が悪いのではないか。

 総理が靖国神社に参拝すると途端に中国や韓国が噛みついてくる。が、靖国参拝にアメリカが噛みついたという話は聞いたことがない。この違いはナニか? 歴史的、政治的にはいろいろ理由がつくが、感情論で解釈した方がわかりやすい。つまり日本人、中国人、朝鮮人は同じ黄色いサル同士だから仲が悪いのだと。

 日本が第二次大戦であれほど憎んで殺し合ったアメリカとは、戦争が終わるやすぐさま仲直りして無二の親友になった。鬼畜米英の一方のイギリスとも何のわだかまりもない。これは日本人とアングロサクソンが人種的、民族的に遠いからではないか。

 一方、韓国や中国とは戦後保障や従軍慰安婦などの問題がくすぶって、いまだにギクシャクしている。総理が訪韓、訪中するたびに戦争責任とか謝罪なんてことが話題になる。相手が似た者同士だと60年たってもなかなか許してもらえない。おそらく千年たってもダメだろう。

 ロシアとは領土問題があって冷えた関係だが、憎み合うほどのことはない。種類の違うサルだからだ。  つづき

 アジアで一人勝ちした日本は欧米の方ばかり向いているので、総じてアジアでは評判がよろしくない。反日感情を持つ国もアジアに集中。逆にトルコやイラクといった日本から遠い国が妙に親日的で日本びいきだったりする。人種的に遠くてヘンなコンプレックスやライバル心がないからだろう。

 似た者同士は仲が悪いという現象は世界各地に見られる。中東問題は似たもの同士のアラブ人やユダヤ人の骨肉の争い。同類ほど引くに引けず解決が困難になる。日本の南京大虐殺、ナチスドイツのユダヤ人虐殺、イラクのクルド人虐殺、みな似た者同士である。イラクがアメリカの民主化にとことん反発するのもアラブ人とアングロサクソンが人種的にそれほど遠くないからではないか。コンプレックスが国際関係を決めているという気がしてならない。

 歴史を通じて日本が中国や朝鮮にコンプレックスを持っていた時期は圧倒的に長い。経済大国として大きくリードした現在の日本はおかしなコンプレックスから解放された感がある。反日感情の残る韓国は日本文化を拒否、つい最近まで日本の歌謡曲などが放送禁止だった。日本の方はヘンなライバル心が少ないから、韓国文化に対しても拒否反応がない。今や日本は韓国ブーム。「韓国ドラマ? いんじゃない?」と余裕しゃくしゃくだ。反日感情むき出しの中国人に対しても、「まあしょうがないんじゃない?」といちいち目くじらは立てない。現在の日本人は自分たちのことを白人だと思っている(?)ので横綱相撲である。早目に民主化した日本は民度の点でも一日の長がある。

 国内では大阪人の東京コンプレックスというのがある。やたらに東京にライバル心を燃やす関西は東京のお笑い芸人を受け入れない。これは日韓関係に近いものがある。

 コンプレックスは人を成長もさせるが、ときに卑屈にもする。愛国心や民族主義もほどほどにするのがよい。度が過ぎるとみっともないものだ。


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