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  ほぼ世捨て人/2005年5月

寄生する独身貴族

  〜 親と同居の優雅な独身生活 〜

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 18歳から一人暮らし。人生、一人暮らしの方がずっと長くなった。

 晩婚化が進み、結婚しない人が増えたという。独身でいつまでも親と同居している大人を称してパラサイト・シングルという言葉も流行った。

 親離れできない子が悪いのか、子離れできない親が悪いのか。もっとも独立すればしたで「核家族化」とか「家族の崩壊」と言われるのだから、社会学もいい加減なものだ。

 親に寄生するのが悪いとは言わないが、25歳を過ぎても親元で暮らすのは自主独立の気概という点でどうなのか。動物としては不自然な姿である。

 ボクは高校生のころから早く一人暮らしがしたくてしょうがなかった。大学に入って一人暮らしができたときはほんとにうれしかった。仕送りをもらっていたから経済的自立とは言えないが、成長すれば親と離れたいと思うのは自然の本能だろう。

 独身貴族というくらいで、独身者は経済的に豊かだというイメージがあるが、豊かなのは親と同居している独身者だけ。一人暮らしの独身者は貴族どころか独身乞食、貧乏ヒマなし、という人が多いにちがいない。

 とくに若い時期は低収入だからたいへんだ。出費の大半が生活費に消え、生活のために働くことになる。

 いま、大卒の初任給は手取り17万円。都会で一人暮らしだと生活費が月12、3万円はかかるから、決して楽ではない。

 これが親と同居で生活費が不要となれば話は別だ。月17万円自由に使えるとすれば、まさに優雅な独身生活である。

 世帯主は住む家の確保に収入の4分の1が消える。ボクのような節約生活だと、家賃が出費の半分以上を占めることもある。  つづき

 かつて年間70万円で暮らしていたころ、パラサイト・シングルの若い女に「年間70万円はちょっとゼイタクね」と言われたことがある。70万円のうち42万円が家賃に消えることを知らないのだ。独身貴族は家と食事はタダだと思っているのである。

 同じ独身で同じ所得でも、一人暮らしかパラサイトかで生活レベルは雲泥の差がある。なのに所得税は同じ。これはけしからん。パラサイトには贈与税をかけるべき。

 ボクのような自由人はどんなに経済的ハンデを負っても一人暮らしをとるが、フツーの人は経済的メリットを考えて親と同居するほうへ流れるのも当然だ。

 結婚を望まない女が増えたというのもこのあたりに一因があると思う。結婚して若い男に寄生すれば生活レベルが下がるのだから、独身のほうがいいやとなる。

 女の場合、定職に就かなくてもニートではない。「家事手伝い」という便利な呼び名でごまかすことができる。では結婚すればパラサイトでなくなるかといえば、「主婦」という別のパラサイトに変わるだけ。

 以前、「女は三従」ということわざを取り上げたが、女の人生は昔からパラサイトである。父、夫、息子と渡り歩き、それぞれ「家事手伝い」、「妻」、「姑」と呼び名が変わるが、ようするに正体は寄生虫である。

 自由を愛して一人暮らし29年。寄生するのも寄生されるのもご免こうむりたい。今後もヘンな虫がつかないように気をつけなくちゃ(?)。

 あ、ちょっとキミ、背中に虫がついてますよ。口紅をぬった寄生虫が。


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