前のコラム 庵ホーム ほぼ世捨て人もくじ 次のコラム

  ほぼ世捨て人/2005年7月

プー子の真実

  〜 専業主婦は日本経済のお荷物 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 東京を初めて訪れたオランダ人の女性記者が、都心のデパートに行ってみてびっくり。
「ウィークデイの昼間なのに、たくさんの日本人の女性が店の中をぶらぶらしているのね。ヨーロッパの女性は仕事を持っているか、ヴォランティア活動に従事している人が大半だから、昼間からのんびりショッピングなんてできないわ。」

 (千葉敦子『ちょっとおかしいぞ、日本人』)

 20年以上前のエピソードだが、今も実態はほとんど変わっていない。

 女性の社会進出は先進諸国の趨勢だが、日本はその中でも取り残された存在。欧米との差はむしろ広がっている。

 雇用機会均等、男女共同参画、キャリアウーマン、女の自立…。標語はいろいろあるが、現実がついてこない。

 働かない女性は「専業主婦」とか「家事手伝い」という大仰(おおぎょう)な肩書きがついているが、要するに無職である。ここではプー子と呼ぶ。

 30代の日本人女性の4割がプー子。子育てが終わる40代(男なら働き盛りと呼ばれる年齢)の3割がプー子だ。欧米の1.5〜2倍の高率である。出産のために仕事を辞め、子育てが終わってもずるずると無職を続けるプー子が多い。

 無職、結構じゃない? ボクは、働かずに生きられる人は自由に生きてかまわないと思っている。ただ、それが社会保障に寄りかかったものだとすれば見過ごすわけにはいかない。

 これからのニッポン、労働人口の減少が大問題だと政府はいう。税収の減少、年金の破綻…。その原因としてフリーターやニートを槍玉に上げるが、なぜか目の前のもっと深刻な病巣、プー子問題をよけて通る。

 今までの基本路線は、働く主婦には税金をかけるが、働かない主婦は優遇し、年金で一生保障するというもの。女が働かないよう仕向ける政策ばかりだった。  つづき

 国策上、女性が働くメリットは大きい。所得が増え、税収が増える。さらに託児施設が増え、外食産業が栄え、家政婦やクリーニング代行の需要が伸び、内需拡大、景気回復につながる。少なくとも不景気で税収が足りないというなら、これが政府の進めるべき方向だろう。

 女性は子供を産んで育てるから、少子化対策の観点から優遇するのは当然、という意見がある。百歩ゆずって子育てと仕事の両立がむずかしいとしても、すべての女性が子育てしているわけではない。

 子供を産まないプー子まで「女だから」という理由で税金を優遇し、タダで年金まであげるというのはスジが通らない。子供を産んだ女性と産まない女性は、社会保障制度上、区別されるべきだ。

 かつてそう発言した前首相がいた。が、マスコミや世論から「女性蔑視だ」とボコボコに叩かれた。日本ではまだ正論が通らないのである。

 「フリーターやニート、けしからん!」と怒るサラリーマンの旦那も、家ではプー子を飼っている。旦那さん、日本経済の将来を考えてや。おたくのプー子のせいで財政赤字がひっ迫し、年金制度が破綻しかけてますよ。

 「そうは言っても、小さい子供を抱えた主婦は働けません。」

 6歳未満の子を持つ母親の就業率は、日本は35%だが、欧米は6割だ。要は意識の問題だろう。

 日本の職場には託児施設がないというが、そんなものは需要があれば自動的に増えるのだ。

 プー子が減らない日本、欧米と何がちがうのか。ネックになっているのは男性の働きすぎではないか。夫が家事・育児を分担できなければ、妻が働きに出ることはむずかしくなる。

 世界一の長時間労働がプー子を生む最大の原因かもしれない。


前のコラム 庵ホーム ほぼ世捨て人もくじ ページ先頭 次のコラム
Copyright(C) 2005. AZMA

inserted by FC2 system