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  ほぼ世捨て人/2005年9月

接客を評価する

  〜 接客態度がよくなるシステム 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 先月、携帯電話の新規契約のためドコモショップへ行った。ケータイの目的は株取引だ。

 日曜日とあって満員。ブースがずらりと並び、店員が個別に応対にあたっている。ケータイの料金体系やサービスは複雑なので、説明も通り一遍ではすまない。

 店員の数から見てかなりの人がアルバイトであろう。ボクの応対にあたった若い女は態度よろしく、説明も丁寧でわかりやすく、プロの応対ぶりだった。

 もらった書類のなかにお客様アンケートというハガキがあった。来店した際の応対についての感想を訊くもので、担当スタッフの説明がわかりやすかったかという質問もある。意見も自由に記入できる。スタッフ印も押してある。

 これで思い出したのは、以前、休止していた固定電話を使うためにNTTの支社に行ったときのこと。平日しか手続きできないのもお役所仕事だが、そのときに応対した若い女の態度の悪いこと。何が気に入らないのか終始ふてくされて、訊きたいことをろくに説明してくれない。

 あまりにひどい応対なので、担当者の名前もわかっているし、後日クレームをつけたかったが、その手段も窓口もなかった。ま、なかったからああいう態度がとれたわけだ。もしお客様アンケートのハガキがあれば、思いのたけをぶつけることができたのに、残念である。

 当時の固定電話はまだNTTの一社独占体制、殿様商売がゆるされた時期。電電公社時代の体質が抜けきってなかったようだ。

 現在のケータイ業界では、さすがのNTTドコモも他社の追い上げを受け、顧客サービスに気を配らざるを得なくなったということか。  つづき

 ずいぶん昔、秋葉原の石丸電気も同じようなアンケートをやっていた。石丸電気で買い物をすると、後日ハガキが届いて、担当した店員の応対がどうだったか細かく訊いてくる。

 つまり客が店員の応対を評価し、雇用主にフィードバックするシステムである。それが店員の勤務評定に影響し、ひいては給料や進退にも響くはず。これは接客にあたる労働者にとってたいへんな脅威である。

 逆に、誠実な応対をする店員には正当な評価が与えられることにつながる。

 こういう評価システムは市役所や税務署の職員にも適用してほしいものだ。

 近所の市役所の出張所に住民票をとりに行くと、1分もかからぬ事務作業に手数料300円も取られ、ありがとうございましたの一言もない。こちらが礼を言ってソンをする。

 窓口対応の職員に不快手当を支給する役所もあるというが、不快なのはこっちだ。概して若い職員ほど応対がまともで、年配になるほど役人根性がしみついて横柄になる。

 旧ソ連の店員は仏頂ヅラで、何しに来たという態度だという。「応対ぶり」と「収入」を切り離せばそうなってしまう。日本の役所は小さな共産圏なのだ。

 人は毎日アカの他人に笑顔で接するようにはできていない。それを可能にするのがお金の力だ。

 欧米では一部のサービス業がチップ制になっている。客が担当者の収入の額をその場で決める。究極のダイレクト査定システムだ。こんなめんどくさいやり方がなくならないのもそういうことなんだな。

 マクドナルドで「スマイル」を注文すれば、資本主義のメリットをひしひしと感じるはずだ。市役所も税務署も民営化すればそうなる、かな。


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