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  ほぼ世捨て人/2004年8月

男が結婚する理由

  〜 妻子を養うのが男の勤め? 〜

ほぼ世捨て人もくじ


 以前のコラム(『男と女、主役はどっちだ』)で女から見た男の役割を明らかにした。男に求められる役割は「種付け」「金づる」「用心棒」である。

 セックス、お金、身の安全。これが結婚する女性のメリットと言える。結婚した方が遥かにおトク。女には明解な結婚の動機がある。

 では男にはどんなメリットがあるのだろうか。まず男が女に求める役割を考えてみる。3つ挙げるとすればこんなところだろう。

 まずすぐにわかるのは「娼婦」。つまりセックスだ。女性の場合と同じである。自分の子孫を残すための代理母と言い換えてもいい。

 2つ目が「家政婦」。家事、子守など家庭内の切り盛り。独身時代に母親から受けた世話を妻に求める。

 3つ目が「ペット」。愛玩動物である。漠然としてわかりにくいが、家にいると心がなごむといったこと。七人の敵と戦って家に帰ると可愛い妻が待っているというのは男の夢だろう。今風に言えば“癒し”である。

 男が結婚によって得るメリットは、セックス、家事、癒しとなる。現代ならすべてお金で買えるし、買った方が安上がりである。メリットはこれだけか? 妻のために何十年も働いて生涯収入の半分(1億円)も貢ぐ理由としてはあまりにも物足りないのではないか。損得だけを考えれば、男には結婚のメリットが少ないように思える。

 それなのになぜ男は結婚するのか。それは男が一家の大黒柱として妻や子供を養うことで満足感を得る動物だから。男を見ているとそうとしか思えないのである。

 男は女のためには何でもする。給料の3ヶ月分の結婚指輪が必要と言われれば何の疑いもなくホイホイと買ってプレゼントする。結婚するときは回りから「新妻を幸せにするのが新郎の勤めである」としっかりマインドコントロールされる。結婚すれば働くロボット。夜遅くまで長時間労働に耐え、稼いだお金をすべて妻に渡してサイフを握られる。さらに生命保険や年金をかけて自分の死後まで妻の生活を保障する。  つづき

 妻を幸せにすることが男のプライド、責任であり、一人前の男として世間体を保つ条件だと思っているらしい。職場の同僚と話しても、女房、子供のために働くのが当たり前と信じて一度も疑ったことがないようだ。

 世の亭主はボクの目には奴隷にしか見えないのである。もっとも主人か奴隷かは主観的な問題であり、本人が主人だと思えば主人なのだろう。

 多くの男性がそういう人生をみずから進んで選択するのである。まるでそのようにプログラムされているかのようである。

 女性の結婚のメリットは具体的、現実的でわかりやすかった。子供をさずかり、働かずに生活費がもらえ、あらゆる困難から守ってもらえる。なんてわかりやすいんでしょう。それに引き換え、男が結婚する理由は極めて抽象的、哲学的で難解である。

 ボクも男のハシクレだが、なぜ男は結婚するのか未だにわからないのである(それがわかったら結婚している)。

 ラジオを聞いていたら、夫の出勤に合わせて毎朝4時に起きる妻に対して夫が感謝するお便りが読まれた。正気か? 出勤する時間に女房が寝ていたらアンタはただの奴隷だ。なぜ気づかない?

 停年退職した夫が妻に感謝のプレゼントを渡すというシーンをテレビで見た。今まで仕事三昧で家庭をふり返らなかった、苦労をかけてすまなかった、30年間ありがとう・・・。これ、妻ではなく夫の言葉なのである。逆じゃないか。

 これには「うーむ」と絶句してしまった。男のマインドコントロールは想像を絶するほど強いのだと思い知らされた。男の方が遥かに社会的洗脳を受けやすいのである。

 ボクは女性も自分の生活費ぐらい自分で稼ぐべきだと思っている。男の風上にも置けない奴なのだ。一生、立派な男にはなれそうもないナ。

 妻を働かせることなくしっかり養っている立派なキミ。生きがいは何かと人に訊かれたら「妻の種付け、金づる、用心棒です」と即答できるようにしておけ。


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